第12回 “わかりにくいアメリカの普通の会話”

ハワイで色々な文化背景の患者を診察していると、白人のくせに日本語が妙にうまい人がいたりします。

ある患者と会話していた時、”え、まじですか”と言ったのでびっくりしました。

まじ、という言い方は日本人ならよく言う言い回しですが、正規に日本語を教科書で学んだ人では、こういう言い方が出来ません。

日本に住んだ経験がないと、なかなか出てこないphraseです。

 

ひるがえって英語の世界を見てみると、アメリカでも日常的によく言う言い方だけど、教科書には出てこない極めてアメリカ的な言い方が山ほどあります。

否、普通、アメリカ人はそんな言い方ばかりで会話していると言っても過言ではないでしょう。ただ、日本語に比べて どうもこう言ったら誤解を受けるかもしれませんが、品がない、と言うか下品そのものと言った言い回しばかりです。

相手を罵倒する単語も、日本語では”馬鹿”か”アホ”ぐらいしかありませんが、英語の単語の豊富なことたるや、感心します。

上品な読者の皆様にはお気に触るような内容かもしれませんが、お許しください。

 

1. No shit

先ほど、まじの話しが出ましたが、英語では No Shit!と言います。

 

(例)”Hey, did you hear Peter passed medical license exam?” “ No shit!”

 

この言い方はアメリカ軍のベトナム戦争時代に兵士達が言い始めたとか、いや、朝鮮戦争の時に言い始めたとか諸説ありますが、兵隊さんが使っていたのが広がったらしいです。

 
 

2.Badass

assとはお尻のことですが、badassでは悪いお尻です。

さぞかし、悪い意味だろうと思われるかもしれませんが、これはどちらかと言うと褒め言葉です。

タフで妥協しない、コワモテの威圧感を与える人の事です。

“You are such a badass”と言われたら、一応褒められたと解釈していいと思います。

 
 

3.Kiss my ass

同じass でも これは何かを拒絶するときに言う言い方です。

日本語では 冗談じゃない、糞食らえあたりが近いのですが、ぴったりくる訳語がありません。

 

(例)You want me to start working on Saturdays, too? Well kissmy ass, I don’t need this job!

 

Kissing assだと上司に気に入られようと胡麻を擂るゴマスリの人の事です。

 

(例)If Brad would stop kissing ass for two seconds he might realize that he is making a fool of himself by pressing the obviously Flawed report.

 
 

4.see the glass as half full

心理学などで楽観的な見方をする性格と悲観的な見方をする性格を判別するのに、glass に半分お酒が入っている状態をどう表現するかで分類するのは皆さんもよく知っておられると思います。

glass に半分のお酒を見て、glass half full と言ったら楽観主義者、 Glass half emptyと言ったら悲観主義者だそうですが、see the glass as half full とはその事を言っているのです。

使い方はもっとふざけていて、

 

(例)“I can score perfect in the next exam,” “Then you have to study hard, Mr.See-the-glass-as-half-full!”

 
 

5. stepping on your own dick

Dick とは男性器の事で、自分で自分のあそこを踏んづける、つまりドジを踏むと言う意味です。

ややふざけた言い方です。

 

(例)Make sure you prepare for this,i don’t want to see you step on your dick up there.

 
 

6.heads up

名詞で使うなら予告、もしくは警告の意味です。

 

(例)This note is just to give you a heads-up that Vicky will be arriving next week.

 

動詞だと、文字通り頭上げ、みろ、注意しろと言う意味です。

 

(例)Heads up! The Boss is coming.

 
 

7.Pathetic

学校で習う意味は悲惨、かわいそう、哀れを誘う、悲愴などの硬い意味ですが、日本でももっと軽い意味で それは悲惨だ、と言います。

アメリカでも全く同じような使い方をします。

 

(例)You can’t even run two miles? That’s pathetic.

 
 

著者プロフィール

小林 恵一(こばやし・けいいち)
1980東京大学文学部西洋史学科卒業、1988年神戸大学医学部卒業。1990年~1993年南カリフォルニア大学ハンティントン記念病院内科レジデント、ハワイ大学内科レジデント。東京八王子東京天使病院内科部長、御代田中央記念病院副院長を経て、1997年米国ハワイ州ホノルルにて開業。2014年より財団評議員。

ジャナメフ