新しく医療英会話シリーズの連載を始めます。

執筆者は当財団の評議員・フェローでいらっしゃいます小林恵一先生にお願いします。

医学医療の分野でアメリカに留学を希望する医学生や若手医師にとって必読のシリーズになることと思います。

アメリカで医療に要求される英語を学ぶ絶好の機会になること請け合いです。

それでは、皆さん一緒に学びましょう。

 

第1回 “どのくらいの英語が出来たら十分?”

公益財団法人日米医学医療交流財団評議員/JANAMEF Fellow

ハワイ 聖ルカ・クリニック院長、神戸大学医学部臨床教授

小林 恵一

 

 英語圏で医療の現場でどのくらい英語が出来たら十分なのでしょう?

 その前に次の会話をみてください。

 

 “Wanna Beef?”
 “Chill, man”

 

 アメリカで暮らしたことがある方なら、この種の言動はよく耳にされたと思います。

 意味は、
 
 “やるかテメエ”
 “まあ、落ち着け”

 

 Beefとは牛肉ではなく、“喧嘩”という意味で、Chillとは冷たいではなくのんびりする、リラックスするという意味です。

 散々、英語を勉強してアメリカに来ると、なんと習った言い方とは全然違う英語を人々は話すということを知り、びっくりしてしまいます。

 例えば、おまわりさんはPolicemanだと日本で習いましたが、アメリカ人はCopといいます。もちろんPolicemanでも通じるのですが、すべてがこの調子で、英語には本音と建前みたいな正式な言い方と通常の言い方みたいな、Official な英語とColloquial (会話的)英語があると思ってください。アメリカで医療をやるには、Officialな英語ができなきゃダメですが、それだけでは不十分です。このシリーズでは国際医療に必要な英語の方向を示し、ついでにその勉強の仕方も考えようって企画しています。

 

 ところで、この文をみてください。

 

 Under the supremacy Clause of the Constitution , action taken by Federal officials in pursuit of foreign policy are not grist for state prosecutions.

 

 これは東海岸の法廷で早口に話された会話の一部分です。アメリカの知識層がどの程度の英語を日常的に使用するかの参考までに出しました。かなり手強いでしょう? 日本で勉強した英語のレベルよりも数段難しい単語が使われ、しかも法的な背景知識も相当ないと会話についてゆくことができません。

 つまり日本で勉強した英語はあくまで基本で、それに日常的会話の広い知識と、知的英語のかなりのレベルを知らなければアメリカで専門職は出来ません。医師として働くには、これらに加えて医学英語の専門知識が必要になります。つまり、次のような式ですね。

 

 アメリカで医療に要求される英語=日本で学んだ英語+Colloquial English+知的な英語+医学英語

 

 次回は、具体的にどの程度なのかをみていきましょう。

 

著者プロフィール

小林 恵一(こばやし・けいいち)
1980東京大学文学部西洋史学科卒業、1988年神戸大学医学部卒業。1990年~1993年南カリフォルニア大学ハンティントン記念病院内科レジデント、ハワイ大学内科レジデント。東京八王子東京天使病院内科部長、御代田中央記念病院副院長を経て、1997年米国ハワイ州ホノルルにて開業。2014年より財団評議員。

ジャナメフ